2023年のよかったもの
2023年が終わりなので今年よかったものの紹介です。
本
ラヴレター / 岩井 俊二 (1988)
映画監督 岩井 俊二の映画のノベル版。本が読めるホテル的なところでたまたま手に取って読んだ。ラブストーリーかと思いきやそうじゃない,けど不思議な奥行きがある青春小説。映画もあとでみたけど,手紙がキーとなる話なので,小説の方が味わい深い。
In a Flight of Starlings: The Wonders of Complex Systems / Giorgio Parisi (2023)
ノーベル賞受賞者・統計物理学者のGiorgio Parisiの自伝は良かったのでおすすめ。統計物理らしく,特定の対象にとらわれずに分野を開拓してきた記録はとても興味深く,かつ科学啓蒙の意識も高くてとても参考になる。鳥の群れの実験から始まるところが熱い。タイトルが The Wonders of ...っていうところもすごいいいです。
余談ですがkindleをふと久々に使ってみたところ翻訳がワンタッチでできることに気づきました。この神機能によって洋書の読書が最高になったのでおすすめです。
音楽
Spotifyで一番聞いたのはYumi Zouma。ジャンルはDream Pop, Alternative Rockでローテンポでチルなバンド。知ったのは昨年だけどとにかくrelaxingでよく聞いてしまう。最高のバンドの一つ。
今年知ってハマったかつこれからも聴くだろうなと思うアーティストはLizzo, Kirk Franklinあたり。どっちもFunk/R&Bですね。あとYusshっていうエレクトロの人もいいです。後述のLotRadioで聞いて知りました。
Youtubeで一番聞いたのはバーバパパのこれ。バーバパパは匿名の電子音楽製作者兼CGアニメーション製作者。少年漫画的な展開とエレクトロが絶妙にマッチしていてすごい曲。
LotRadioというニューヨークの非営利DJ番組にもハマった。クラシックからファンク,テクノまでジャンルもさまざま。電子音楽/DJに入る良いきっかけになりました。
ラップバトルも上半期はよく聞いてました。あんまり詳しくないですが即興性が強くてフローが綺麗な人が好み(あと悪口が少ない)。iD,晋平太,マカ,ニガリが好き。日本語のラップバトル,独自の進化を遂げている気がする。
今年亡くなったチバユウスケ。The Birthday,あんまり頻繁に聞いてるわけではないけど好きな曲はいくつかあって,いつかみたいと思っていたので残念でなりません。酒とタバコ最高みたいな人がとんでもなく愛溢れる歌詞書いてるの,いい意味でギャップ凄すぎる。
お笑い。あんまり知らなかったけどチョコプラのこの財津チャンネルっていうコントはとてもはまった。怪しいビジネスの会話を即興で繰り広げるという内容。本人が笑い堪えきれなくなってるのがポイント。
M1でいいなあと思ったのはエルフ。構成がしっかりしていて面白いし,基本的にポジティブなメッセージ性があって,すごいユニークだと思う。
動物系のライブストリーミングにもかなりハマりました。動物の自然な素顔が見れるというのはもちろんですが,環境音が欲しい作業時のBGMにも向いてます。有名なものはナミビア砂漠のものですが,好きなのは北アメリカの冬限定の鹿の給餌所。調べるといろいろなバリエーションがあって面白いです。個人的には動物観察ASMRと呼んでます。
映画
帰ってきたヒトラー (2015)
10月からドイツに渡航して,面白いドイツ映画が知りたかったのでおすすめされてみました。ヒトラーが現在に帰ってきて暴走するというシンプルな設定の話です。実際の街中でヒトラー役が歩き,人々との反応の一部始終を映画に組み込むという現実と虚構が入りまじった演出は斬新。原作も読んでみたいです。
Barbie (2023)
バービーとケンを巧みに使って社会の男女の歪さを面白おかしく描く。とにかくよくできていて2回見ました。音楽もかっこいい。
論文
今年の一本はこの論文。
https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2207662120
Kinesin-microtubule系でマクロな秩序形成のエネルギー効率を測ると非常に効率が悪く,ミクロなエネルギー注入のほとんどは散逸で失われているというもの。Active matterの実験系はかなり確立されてきた印象があるけど,これまであまり定量できていなかったエネルギー的側面を定量したのは画期的。
実際の細胞ではどうなっているのか気になるところです。アクティブマターの産業応用とかを考えると,このまま使うのは筋が悪そうというところ....
以上です。来年もいろいろ開拓していきたいと思います。